
室町時代末期の16世紀、ポルトガルからの宣教師によって伝わった南蛮菓子は、長崎の地で永い時をかけ、日本人の嗜好に合わせた、よりきめやかな食感と香り、甘さを持つカステラとなり、400年経った今では、県内外の人々から愛される西洋菓子となりました。
長崎の歴史といえば、江戸時代の鎖国制度の中、諸外国との窓口となった出島を始め、世界文化遺産に2018年に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」や、2015年に登録された「九州・山口の近代化産業遺産群」に関連する、大浦天主堂やグラバー園。第二次世界大戦で原爆が投下された中心地の、程近くにある平和記念像など、諸外国との関わりなしには語れません。
そんな異国文化溢れる長崎では、鎖国時代、出島に荷揚げされた砂糖と島原雲仙の麓から湧き出る名水、新鮮なたまごとの出会いがありました。
県外の方にはあまりなじみがない「島原」ですが、雲仙普賢岳の噴火と聞くと、ピンとくる方も多いのではないでしょうか。
その雲仙の恵みである豊富な湧き水は、日本名水百選にも選定されるほどの名水であり、雲仙岳の麓に広がる大自然でのびのびと育つ鶏は、カステラ用のたまごを産むために育てられるほど。長崎カステラには、島原の美味しい水、美味しい空気、美味しいたまごがつまっているのです。
島原天草の乱から10数年後の江戸時代中期には、今の甘いカステラが作られていたそうですので、当時の島原城城主も舌つづみをうっていたかもしれませんね。
「島原湧水」 島原市は「水の都」と言われ、湧き水が豊富なまちです。湧水量は、1日に22万トンといわれており、豊富な湧き水は、共同洗い場などで市民の生活用水として利用されています。
出島
国指定史跡(出島和蘭商館跡)。鎖国時代の約200年間、日本で唯一西洋に開かれていた貿易の窓口でした。
砂糖は江戸時代以前より輸入されていましたが、出島での貿易で増加。砂糖とともに、西洋の菓子づくりの技法も伝わり、カステラなども作られるようになりました。19世紀、出島内には住居や料理部屋、蔵、番所など49棟もの建物がありましたが、明治期にその役割を終え、陸地の中に埋もれ、人々の記憶からも消えかけていました。
今から約60年前に長崎市が出島の復元に着手し、現在そのうちの25棟を復元させるための事業が進んでいます。国宝 大浦天主堂
幕末の開国にともなって造成された長崎居留地に、在留外国人のために建設された中世ヨーロッパ建築を代表するゴシック調の教会で、現存するものでは国内最古。
信徒発見の舞台となり、2018年にユネスコの世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産のひとつです。
※写真撮影・掲載に当たっては大司教区の許可をいただいています。
グラバー園
国指定重要文化財の旧グラバー住宅・旧リンガー住宅・旧オルト住宅を核に、市内に点在していた6つの明治期の洋館を移築復元したものです。
長崎港、稲佐山をはじめとする緑したたる山々、人々の息づかいが感じられる街並み。偉人たちも魅せられた絶景が広がるとびきりのビュースポットでもあります。
平和公園
原爆落下中心地公園北側、小高い丘にある平和公園は、悲惨な戦争を二度と繰り返さないという誓いと、世界平和への願いを込めてつくられた公園です。
「平和祈念像」「平和の泉」には、世界恒久平和と核兵器廃絶の願いが込められています。
雲仙普賢岳
雲仙岳の主峰の一つで、日本一新しい山「平成新山」が間近で見ることができます。四季折々、山の姿を変化させますが、秋の紅葉の時期は特に見事です。
島原城
島原城は、1964年に復興された五層の天守閣をはじめ、3か所に三層櫓を配し、安土桃山様式の壮麗な面影を残しています。
天守閣はキリシタン史料館として島原の乱にまつわる数多くの史料を展示しており、西望記念館は日本彫塑界の巨匠で文化勲章を受賞した郷土出身の芸術家北村西望氏の代表作を展示している施設です。
武家屋敷
島原城の西に接した上新丁、下新丁、古丁、中ノ丁、下ノ丁、江戸丁、新建に扶持取り70石以下の徒士屋敷約700戸が軒を連ねる一帯は、島原城の築城とともに形成され、鉄砲隊の居住地であったことと、造成当時隣家との間に塀がなく、まるで鉄砲の筒の中を覗くように武家屋敷街が見通せたので、鉄砲町とも呼ばれていました。
各丁の道路の中央には豊かな湧水を引き水路を設け、生活用水として大切に守られてきました。
現在、保存されている下の丁の武家屋敷は、住民のご協力を得て「武家屋敷町並み保存地区」として定め、昔どおりに保存されています。延長406.8m、幅長5.6mの町並みで山本邸、篠塚邸、鳥田邸の3軒が一般に無料開放され、当時の武家生活の様子が偲ばれます。
鯉の泳ぐまち
島原は古くから水の都といわれていますが、中でも新町一帯は特に湧き水が豊富で、地面を50センチメートルも掘ると湧き水が出てくるほどです。
地域の町内会が中心となって、子供たちの感性をはぐくみ、豊かな湧き水を後世に残し、また観光に活かそうという趣旨のもと、町内の清流に錦鯉を放流しました。
上記観光案内は、(一社)長崎県観光連盟が運営する「ながさき旅ネット」から抜粋しています。
島原の魅力と観光名所は島原市観光情報サイト「ENJOY!しまばら」で詳しくご覧になれます。